日本では英語の授業で最上級を教える際に、必ず「the + 形容詞-est」にするよう、端的に教えられているが、あれは間違いだ。
"The"がつく理由は最上級だからではなくて、ある限られた群の中で、決まりきった人を指すからで、最上級に「するため」ではない。
形容詞-estで既に最上級。だからaがつくこともある(!)。
例えば:
The idea that there is a smartest person in the room is a fallacy.
(「Education World (R)」Teacher's Lounge: Advice for Virtual Instructionより)
この"a smartest person"は色んな人の間でsmartestな人という例で、"Emma is the smartest person in the room."というようなEmmaがクラスの中で一番smartestと言いたいような文とは違う。
でも日本ではとにかく最上級は「the + 形容詞の最上級」と教えているため、英訳原稿でaをつけていると、これに関するフィードバックを受けることがある。私もつい最近まで、そう言われると、「確かに『the + 形容詞の最上級』って習ってきたからな…」となんとなく思ってきていたのだけれど、いろいろ考えてみて、これは冠詞の問題なのだとわかった。
(それなのになぜそもそもaをつけていたのかと言うと、これは感覚的であった。でもだからこそ説明ができなかった。13歳から英語を始め、16歳でアメリカに行ったため、自分の中では外国語として学んだ部分と、現地で母国語感覚で身に着けた部分とが混在している。)
冠詞の問題は本当にややこしい。日本語にはその概念がないからだ。数えられる名詞・数えられない名詞、必ずtheがつく・つかないもの云々、まではいいが、実はどちらでもいいようなものがあったり、話者の解釈によって変わったりするようなものもある。このへんの冠詞問題は私も含めて日本人には本当に難しいと思う。
真剣に冠詞について学びたい人には次の本をお勧めしたい。